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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

三

そう言い終る山之助の言葉も待たず、御用聞の金杉の竹松は、死骸へ飛び付くように調べましたが、小判はおろか財布の中に小粒も残ってはいません。

「ありませんよ、旦那」

「よしよし。それも一つの手掛りにはなろう」

「それからちょいとお耳に入れたいことがありますが」

竹松、浦辺吉十郎に囁きました。

「何だ」

「手代の久吉が、隠居を怨んでいたと店の者が申しますが」

「それをつれて来るがいい」

「どこへ行ったか見えません」

「フーム」

「死骸を見付けて大騒ぎになった時、確かに人ごみの中にいたという者が二三人ありますが」

「その野郎だ。ぬかるな、竹松」

「ヘエ」

金杉の竹松は、獲物を嗅ぎ出した猟犬のように飛びました。

三

お弓が伝手から伝手を求めて、銭形平次を訪ねて来たのは、それから三日目でした。

「親分さん、こんなわけで、とうとう久吉どんは縛られてしまいました。――平常から遠慮のない人で、ツイ言わなくても済むことを言って、主殺しの大罪人にされては可哀想でございます。どうぞ助けてやって下さい。お願いでございます」

涙ながらに拝むお弓を見ると、尻の重い平次もツイ、この事件に飛び込んでみる気になるのでした。