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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁
六
「これだ、八」
「どこから持出したでしょう」
「言う事が変だと思ったら、この野郎は五人の子供の隠された穴を知っていたんだ」
「穴ですか」
「香木のある穴だ。伽羅だか、沈香だか知らないが、とにかく、名香をしまってある穴だ。来い、八」
「ヘエ――」
平次とガラッ八は、フイゴと小判を町役人に預けて、もう一度引返しました。
六
二つ三つ心当りを捜って、菊坂の空地に引返すと、もう夜でした。富五郎も町役人も引上げて、その辺一帯不気味に静まり返っております。
「この辺に大名屋敷はあるかい、八」
「ありますよ、本郷の通りへ出ると百万石の加賀様、春日町へ下ると水戸様だ」
「そいつは少し遠過ぎる、もう少し近いところはお前じゃわかるまい。近所の人を一人呼んで来てくれ、なるべく年寄りがいいな」
やがて八五郎は近所の老人を一人つれてきました。それに同じことを訊くと、
「菊坂の北は本多美濃守様、阿部伊予守様」
「それから」
「菊坂を挟んで小役人、御家人の屋敷が二三百あって、西には松平右京亮様、南には松平伊賀守様のお下屋敷があります」
「そんな事かな」
平次は少しがっかりした様子です。
「外にはありませんよ」