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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁
二
あきらめ兼ねた八五郎は、それでも追っ手をゆるめず、品川へ入って、歩行新宿から南本宿まで飛びましたが、見覚えの駕籠は影も形もなく、犇々と身に迫るのは、噛み付くような空腹感です。
二
「親分、これ何と判じたものでしょう?」
ガラッ八の八五郎は銭形平次の前へ、前夜日本橋から芝、田町までの間に拾った南鐐、小判、飾り櫛、四文銭、二分金、簪、懐中鏡――と畳の上へ並べて行ったのです。
「何だえ、それは?」
平次もツイ起き上がりました。縁側に腹ん這いになって、蟻の作業を眺めながら、煙草をすっているところへ、いきなりガラッ八がこの判じ物を持込んで来たのでした。
「あっしには分りませんよ、親分」
「どこで拾って来たんだ。――まさか淡島様のお堂を掻き廻したんじゃあるまいな」
「そんなタチの悪いことはしませんよ。こいつは日本橋から高輪の方へ行った駕籠の客が落したんで」
「フーム、面白そうだな。詳しく話してみな」
平次も乗気になりました。四文銭と小判に挟まれてつまみ細工の櫛や、平打の銀簪や、その頃の世界では、この上もない贅沢だったギヤマンの懐中鏡が、妙に感傷をそそります。
「こういうわけですよ、親分」