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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

「あの日のことを、もう一度繰り返してくれ。お前の口から聴きたいんだ」

「ヘエ、何べんでも繰り返しますが、大したお役に立ちようもありませんよ、親分」

「そんなことはどうでもいい」

「ヘエ」

権次はペラペラと繰り返しました。今から六日前の夕刻、菊坂の空地で仕事をしていると、近所の子供たちが五六人で、面白そうに遊んでいましたが、そのうちに薄暗くなって、仕事仕舞にして立ち上がると、今まで空地一パイに飛廻っていた子供が、掻き消すように見えなくなった――というのです。

「それに間違いあるまいな」

「ヘエ」

「本当に掻き消すように見えなくなったのか」

「ヘエ――、神隠しか何かでしょうな、あれは。その時は大して気にもかけませんでしたが、あとで五人の子供衆が帰って来ないと聴いて、ゾッとしましたよ」

「それから菊坂の空地へ行かないのは、どういうわけだ」

平次はいつの間にやら、そんな事まで捜っていたのです。

「あすこは良い仕事場でしたが、あの事があってから、気味が悪くて行く気になりませんよ」

「たいそう気が弱いんだな」

「ヘエ、今日も仕事を休んで帰ろうと思いますよ。この近所の衆があっしの顔を見て、こんなに仕事を持って来てくれましたが、フイゴが損じて仕事が出来ません」