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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

三

「いくら入っていたんだ」

「大したことじゃございませんが、それでも小粒で二両ばかり」

与七が怨み骨髄に徹するのはそのためだったのです。

三

平次はもういちど栄吉に逢ってみました。これは与七をあまりよくは思っていない様子ですが、それでも与七の言ったことは大体承認し、倉の戸を開けに行ったのも、二階の窓を開けたのも自分だが、朝は倉の中に何の変りもなかったと言い、その後では誰が入ったか知らないと言い張ります。

暮から小さい物の盗まれるのは、栄吉も苦々しく思っているらしく、これは誰の仕業にしろ、ついでに平次に捜し出して貰って、うんと懲らして頂きたいという意見です。

その時、

「親分、みんな判りました」

飛んで来たのはガラッ八の八五郎でした。

「何が判ったんだ」

平次は眼顔で誘って、倉の蔭の方に歩き出しながら、ガラッ八の集めた材料を訊きました。

「変な家ですぜ、この家は」

「変な家というと?」

「第一、先代の主人安兵衛は、卒中で死んだことになり、寺方で無事に葬式を受けたが、どうも尋常の死にようじゃないという者がありますよ」

「誰だえ、そんなことを言うのは?」

「横町の小唄の師匠で」