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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

よく調べてみると、その晩着ていた単衣にも、ほんの少しだが血が付いていたぜ」

三輪の万七は得意そうでした。

「なるほどそう聴けば疑いはないが、ちょいとその短刀を見せてくれ――鞘ごと川の中に捨ててあったんだね。――誰も拭きゃしなかったかい、これを」

「拭くものか、潮水の滴れるまんま持って来たんだ」

「それにしちゃ血の跡もないぜ」

「拭いたんだろう」

「いや、鞘に入れて捨てる短刀を、わざわざ拭くはずはない。――拭いても脂くらいは浮いてるはずだが。――この鞘はよく出来ていると見えて、ろくに潮も入っちゃいない、いま磨いだばかりという刃の色だ。――それに傷にしちゃ短刀が細過ぎるね」

「…………」

「お半。――お前は言いにくかろう。――人殺しよりもっと恥かしい事をしたんだから、――だが、それじゃ済むまいぜ」

平次は短刀を元の場所におくと、しずかにお半の方を振り返るのでした。

「…………」

「お前は主人殺しの罪を引受けて、磔柱を背負うつもりだろう。が、そいつはつまらない料簡だ。お前のした事はよくない事だ。女としてはこの上もなく恥かしい事だが、命まで投げ出すことじゃあるまい。どうだ、お半。