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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

日も時も構わず、毎日御神籤を引くのは、いくら小娘でも変じゃないか、八」

「だからあっしが変だと言ったじゃありませんか――糸瓜に髷を結わせたり、意気な袷を着せたのは親分の方で――」

「そんなことはどうでもいい。――その娘は誰かと逢引をする様子はないのか」

「根岸から真っ直ぐに来て、真っ直ぐに帰りますよ。もっとも、ときどき、変な野郎が娘の後をつけている様子ですがね、振り向いても見ませんよ」

「変な野郎?」

「若くてちょっと渋皮のむけた娘の後をつけるんだから、どうせまともな人間じゃありません」

「お前もそのまともでない人間の一人だろう」

「へッ」

「ところでその娘は、引いた御神籤をていねいに読むのか」

平次の問いは妙なところへ立ち入ります。

「丁寧にもぞんざいにも、見ようともしませんよ」

「フーム」

「そのまま八つに畳んで帯のあいだへ挟んで、御神籤所からだんだんを降りて石畳を踏んで、仁王門を出て、粂の平内様のお堂の前へ立って、帯のあいだから先刻の御神籤を出して格子に結わえるんで」

「その手順に間違いはないだろうな」

「毎日同じことをやるんだから間違いっこはありません。よほど念入りな願をかけるんでしょうね」