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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
五
「見たりしてもいけないか」
「出ちゃあいけねえことになってるであすが、もしなんなら」
と大作が伝次を見た。伝次はそっと小屋の中を眺めまわした。
暗さに馴れた眼で見ると、炉を囲んでいる者のほかに二三人ずつかたまったのが三組ほど、床張りの上で夜具をかぶって寝ていた。
「――でえじょぶだろ」
と伝次が頷いた。
五
「旦那は積下ろしを御覧になりてえですね」
「庫のようすを探りたいんだ」
「そんなら、――」
と大作は万三郎の袖を引いた。
足音を忍ばせて、入口とは反対のほうにある土間の突当りへゆき、非常口とでもいうものだろう、掛金を外して、開き戸を静かにあけた。炉の明りもそこまでは届かないが、大作と伝次がうしろを庇うようにしている。
「気をつけて下せえ」
伝次が云った。
「あんまり長く暇どらねえように頼みます」
「戻ったら爪で叩いて下せえ」
と大作が囁いた。
「おらたち此処で待ってるだから」
万三郎はそっと外へ出た。
柵の内には監視はないが、そこで暫くようすをうかがった。
雲が出たとみえて、月光が明るくなり暗くなりする。この辺も一帯に花崗岩質なので、白っぽい地上に小屋の影が黒くうつっている。