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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
「おだまンなさいよ、痩浪人! 第一さ、見返りお綱に惚れるなんて、身のほど知らずというものだ。このお綱さんに好かれたければ、もっと立派な腕前か、もっと立派な悪人になっておいで、辻斬りかせぎで色侍、オオ嫌だ、そんな男は!」
「ウウム。毒づいたな」
「いくらでも毒づきましょうか、まだもう一つ、虫の好かないものがある。お前さんのその頭巾、よっぽど、ゆうべ眠り薬のきいてる間に、引っぱいで見てやろうと思ったけれど、どうせ自分の亭主でもない男と、おやめにしといてやったのだよ」
「エエ、うるせえ!」
と、その隙に、孫兵衛は猛然と、豹のように、女の手もとへ躍っていった。
キラリ! と輪を描いたのは、お綱の帯から走った匕首。
もとより、お十夜を抉るには技が足らず、風を孕んだ袖うらが、空しく、ヒラ――と流れたのみ。途端にかいくぐった孫兵衛、その利腕をねじとッて、左手で女の喉をせめつける。
二つの体が、よじれ合って、ヨロヨロと仆れかかった時である。
――ピュッと唸って飛んできた捕縄! 縄の先には鉛がある。小具足術の息一つ、クルクルッと、お十夜の首にからみついた。
「しめた!」という声。