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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

悪玉と悪玉

「さよう、貴殿にお頼みがござるので」

「話によっては引きうけよう」

「お嫌ならば、なアに別に、無理とは申さぬ。ただ、お綱があのまま、ふたたび息を吹っかえさぬだけのことに終るので」

「ま、とにかく、そちらの希望を、承ろう」

孫兵衛をじらしておいて、

「では言いましょう」と、旅川周馬、悪賢い目で、額ごしにお十夜の顔を見つめた。

悪玉と悪玉

「それは、つまり……」

と、旅川周馬、

「ほかでもないが、そこもとの得意なものを、お借り申せばよろしいので」

「身どもの得意なものを?」

お十夜は解しかねた面もちである。

がんどう返しの穽し穴に墜ちた、お綱の身を質にとって、その交換条件に、得意なものをかせとは、一体なんのことかしら? ……と旅川の顔をみつめ返した。

「さよう」

周馬は悪く落ちついて、

「そこもとのお得意といえば、裏書していうまでもなく、そこにお持ちの助広で」

「うむ?」

「人を殺していただきたいのじゃ」

「なるほど」と、思わずうなずいてしまったが、孫兵衛はおどろいた。この周馬のやつ、いつのまに、おれの辻斬り稼ぎをしていることや、刀の銘までみていたのだろう?

「どうでござる。ウンと一つ呑みこんでは」