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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

阿波侍

「あ……私はあすこで、仆れた時に血を吐いたのだ……着ものに血が……血が」

指に冷たくぬれるものを感じながら、お米は戸板の上でポッカリ星を見つめている。

「私の恋はかなわぬ恋――弦之丞様には女子がある、それでなくとも、こんな病を知られてしまった……」頭だけは澄みきっていた。

阿波侍

ほこりッぽい街道すじに、これはまたきれいとも華やかともいいようのない行列が、今――三条口から大津の方へ、おねりで練ってくるのである。

桃色の日傘、あやめの絵傘、とりどりに陽へかざす麗人二十二、三人、派手模様の袂や藤いろの褄、緋のけだしやら花色の股引やら、塗りの下駄だの紅緒の草履だのが風にそそられて日傘の下にヒラヒラと交錯し、列に挟まれた駕一挺、一人の美女がのっている。

どこの陽気なみだい様かとまちがえそうな人数だが、歩きながら、たえずペチャクチャとさえずるお供の方の風俗や、また、口三味線だの小唄だのを、はばかりもなくさんざめかして行く態からみても、この人々は、決してさような、やんごとないご連中ではない。

だが、往来の旅人や馬子や荷もちの人足などは、その華奢にして洒然たる道中ぶりに眼をうばわれ、