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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
「オオウーイ」
続いて別な声がまた呼ぶと、木魂返しに向うからも、応ーッと答える声がする。
と、掘割の水門から、ギイッ、ギイッ、と櫓を押してきた一艘の見張舟がある。黒い波紋を大きく描いて人影の立っている桟橋へ漕ぎ寄せてきた。
「ご苦労だった」
という声は森啓之助。
続いて繋綱を取る者、舟へ飛びのる者、しばらくドカドカ騒いでいる様子は、下屋敷から引っ立ててきた俵一八郎とお鈴を、脇船へ移すためにこの見張舟を呼んだものらしかった。
「縄目は大丈夫か」
啓之助がしきりに聞いている。
「脇船へ積みこむまでに、川の中へでも飛びこまれては身の失策になることじゃ」
「横杭へ縛りつけておきました」
「ウム、それならまず間違いはあるまい。念のため、その帆布を二人の上からかぶせておけ」
「はっ、こう致しますか」
「よかろう! ところで方々にはもう御用がないゆえ、ここをお引き揚げなさるがよい」
「でも、森様お一人では」
「いや、ご配慮には及ばぬ。卍丸の方も手不足であろうし、やがて殿のお座がえも仰せだされるであろう。これまでお手を貸していただけば、あとは拙者が仲間相手に送りこみます」
「では」