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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
驚いたのは番台のおやじ。
えらいお客がまぎれこんでしまった。いったいその女掏摸というのは、どの客であろうかと、銭筥の抽出から眼鏡をだして、上がってくるのを一人一人見張っている。
たいがいなお客は入れ代ってしまったほど、かなり時間がたったが、どうもそれらしい女は上がってこない。みんな、近所の顔見知りな人ばかりだ。ばかにしてやがる、不浄役人め、女湯覗きをして行きやがった。
おやじは眼鏡をはずして手に持った。すると、その時、近所の若いお内儀さん――馴染なので顔を知っているが、その内儀さんと親しい口をききながら、一緒に出て行った小粋なのがチラと目についた。
オヤ! といいたかったが、そうもいえないので、番台から、
「ありがとう、おしずかに――」
ひょいと振りかえるまに戸を閉めて下駄を取っている様子。何かいいながら、馴染の方の内儀さんは、湯道具やらおむつやらをいっぱい抱えて、ねんねこにくるんだ乳呑み児の方は、も一人の女の手へ預けていた。
「すみませんです、ほんとにご親切様な」
「どういたしまして、お互い様ですもの」
「おかげ様で今夜ばかりは」
「おう、外へ出るといい気もち――赤児もスヤスヤ寝ていますよ」