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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

その後、かれは、阿波守が安治川屋敷を引きあげたと聞いて、ソッと平賀源内の住居を訪れ、そこで、法月弦之丞の話をきいた。

かけ違って、弦之丞と会わなかったため、鴻山もすぐに、江戸へ立った。

そして彼は、松平輝高の門を訪れた。

左京之介とは古くから面識がある。

十一年前、鴻山が宝暦の事変で血眼になって活躍していたころ、左京之介も京都にあって、事件の要路にあたる所司代であった。

で、かれは、今日までの苦心を、つぶさに打ち明けた。

与力や目明しの中には、一つの事件に、四年五年の根気をつづける者もあるが、十一年――しかも、職をはがれて今なお意志をかえない鴻山の話には、左京之介も、心を動かされずにはいられない。

折も折とて、輝高は、ちょうどこの頃、江戸長沢町に兵法講堂を開いている、山県大弐という者に目をつけていた。

この大弐も、十一年前に事変を起こした、竹内式部と何らかの連脈がありそうで、京の堂上たちと事を結んで、幕府の虚をうかがっているらしい疑いがある。

けれど、確たる証拠はない。

ところへ、鴻山の話があった。

宝暦変――反幕府思想――不平な公卿――竹内式部――その一味――山県大弐――。