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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
……お、お綱は、ここにおりますから」
おののく手で、つかみ出した手紙の端――、それもベットリと黒い血にひからびて、一月寺――という字が淡く書いてある。
死期を悟ったものであろう、紋日の虎五郎、苦しい息で、しきりに悪行をざんげする。
「悪かった、すまなかったよ……」
唇をワナワナさせて、繰り返した。
「お三輪や、乙吉や、廓へ売り飛ばした娘は、みんな、おれと、お才との間にできた子だ。すまねえが、おれのような悪い親父を持った因果。……だが、お綱は、わっしの子じゃアありません。そのお綱から、意見手紙をつけてくれた、三百両の金まで、いい気になって、飲んだり打ったりしておりやした。罰があたったンです、罰だ。こうなったのも……」
つかんでいた手紙を、力なく離して、
「下谷の一月寺におるッて書いてあります。お長屋の衆、後生ですから、お、お綱にちょッと知らせておくんなさい。あ……あいつに一言、い、いい残すことがあります。わっしがこのまま死ってしまうと、お綱は、とうとう一生知らずにいるでしょう……」
何か深い仔細があるらしい。
それをお綱にいわないうちは、さすがな虎も、両掌を合すことができないふうだ。