輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

白い歯なみを笑みこぼして、ニッと流しめに媚を向けたので、あまり近く寄り添っていた孫兵衛、息づまるような眼づかいを迷わせた。

「はてな……」と好色な孫兵衛は、もう情心の闇に好きな痴蝶を舞わせて、勝手な想像を心の奥でたくましゅうする。

「お綱のやつめ、ばかに今度は当りがいい……ジロとおれをみる眼元、何ともいえない色気の露がたれている。やッぱり女は女ざかり、男がほしいに違いない。とするとこの金的、案外もろくポロリとおれに落ちてくるかもしれないわえ……」ひそかに伽羅の薫りを偸み、その肉を想いなどして、今宵の泊りの夢までを描くのである。そういえばお綱の手が、歩きながら、ときどき味を持たせるように孫兵衛の指へ触ってくる。ここで、ギュッとその手を、握り返してやりさえすれば、侠なようでも女のことだ。そうなってはもう啖呵の音も出まい。きっと、俺のこの強い力にほだされて、いつの間にか俺のこの胸へ抱きこまれてくるんだろう。甘えものだ。何といってもそのほうにはお綱も初心なところがある。世間にすれていて男に初心――男にすれていて恋には初心――、という女がこのお綱だ。深窓にたれこめている御守殿女の初心よりは、お綱のような女の初心が、時には、ばかばかしいほど男に血道をあげるものだ。