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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁
そんな随分御迷惑な仕事を先生は案外機嫌よくやって下さっていた。その年は私が学生方面の会計をやらされていたので、ニウトン祭の翌日の晩、会計簿と残金とを持って先生の御宅の応接間へ伺ったのであった。その時先生は、「どうも毎年、五月か七月頃になるまで会計が出来なかったものだが、君のは馬鹿に早いね、僕は本当は、几帳面なのが大好きなんだ」と大変御機嫌が良かった。
ゆっくり話して行き給えといわれるままに、初めて見るこの応接間を、田舎出の大学生らしく物珍しげに見廻しながら、色々の話を聞いて驚いていた。大分遅くなったようなので御暇しようと思って、「先生は御忙しいんでしょうから」と月並なことをいう。
何に、良いさ、もう御休みになったのだから何も忙しいことはない。始終忙しい忙しいといっているのが現代人の欠陥だ。中には忙しいということが何か偉い事のように思っている人もあるが、僕なんかその反対だね。君、家はどこだね。何、本郷か、それじゃ電車がなくなっても平気だね。僕なんか夏目先生の所へ遊びに行っていた頃は、牛込から弥生町まで歩いて帰ったもんだ。いわゆる、「寒月」が皎々と冴え返っている中を歩いて帰ったものだよ。