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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁

青空文庫

三七 僕が死んだら

あの時は実にゾーッとしたよ。

それから国から妻と母がきてね。僕は高等学校時代に妻帯していたんだ。身体が弱かったし、一人息子だったもので、親が心配して無理に貰ってしまったんだ。それでまた家を探して貰ったら、今度は藍染町の汚い小路の離れを借りてくれたんだがね、そこがまた実際不衛生極まる所だったよ。それから仲御徒町の金貸しのばあさんの離れを借りたり、随分流浪の生活をしたものだ。それがようやく今の坂井さんの前の家があいて、それに引越してやっと山の手の生活に入ったと思った矢先、妻が病気で死んでしまったのだ。実際、何故あんな不衛生ないやな所ばかり流浪して歩いていたものか、今思うと腹が立つ位だ。随分永らくあの前を通るといやな感じがしたが、この頃やっと平気になれるようになった。

それから僕も病気になって、学校を休んで国へ帰って一年近くも海岸で暮したものだ。その間には随分面白いこともあった。案外ローマンス位あったかも知れないよ。

いつもなら、こんな所で機嫌の良い微笑が出る所であるが、この時ばかりはいかにも淋しそうな笑いであった。

三七 僕が死んだら

いつかこんな妙なことを先生は冗談らしく、いっておられたことがあった。