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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁
一九 雲の美
研究の方も面白かったな。僕は縄の腐れる理論をやるし、F君は乾物の理論、缶詰の理論を出すという始末さ。何でも干鱈を作る話なんだが、肉を繊維の集りとしてその中を毛管現象で水分が上って行って、表面から蒸発するというのを、何十頁か長い数式ばかりで埋めたんだから、水産講習所の連中を煙に巻いたわけさ。
もっともこれは冗談じゃないんだ。僕はあの縄の腐れる論文には大分自信があるんだが、誰も読んでくれぬのだ。あんまり変ったことをやるのはやはり損だな。
一九 雲の美
大正十三年の夏は大変な暑さで、夏休み中実験室へ出てはいたものの、実験なんか勿論何も手にはつかなかった。それでも先生は毎日のように実験室へ顔を出された。まず朝室へはいると真裸になってその上に白い実験着を着て、紅茶をわかして、手製の硝子細工の冷却器に水道の水を通して冷しておく。昼頃先生が見えると、それにうんと砂糖を入れて出すのである。ごみごみした実験台の上で、先生はいかにも汚なさそうにその紅茶をとりあげながら実験結果の曲線を覗かれる。「うん、そうか、これを皆集めて三次元的にすると、金屏風に山の芋を立てかけたような形になるんだな」