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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁

青空文庫

という風な指導振りが一応すむと、後は暢気な雑談をしばらくして帰って行かれるのであった。

ある日丁度先生のおられた時に、気象台のF先生が這入ってこられた。何でもF先生が見られることになっていた論文を見終られたので、それを持ってこられたのである。小使にでも持たせて寄こされれば済む所を、わざわざ御自身で持ってこられるのは、F先生も寺田先生に師事されていたからなのである。

「実際こう低気圧に腰を据えられては全く神経衰弱になってしまいます」とF先生がこぼされる。先生はニヤニヤしながら、丁度その日の朝の新聞に出ていた記事のことを話されるのであった。

「F君も、ああでもなかったが、気象台へ行くと、皆人が悪くなるからね。新聞記者を操縦する所なんか巧いものだ。」

「ええ、なかなか新聞記者学を卒業するには、十年はかかりますね。今頃になってようやく、そのこつが分りましたが、I先生なんかまだまだ一年生ですね。」

「何だがこの前なんか、中央気象台のF博士に会って、雲の美の話をして下さいといったら、雲の話なら僕も少しは知っているが、雲の美となると、どうも大学の寺田先生でなくちゃとおっしゃいましたからといって、婦人記者が僕の所へやってきたね。