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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁

青空文庫

と上機嫌で毎日猛練習をしておられた。その話が悪太郎連中の耳にはいって、年に一度、東大の物理学教室でニュートン祭というのをやって、先生方の逸話などを漫画の幻灯にして、諸先生の御目にかけるという厄介な催しがあるのであるが、早速その時の好材料とされてしまったことがあった。構図は何でも先生が首を曲げながらセロをひいておられて、その背景にピアノがあり、ピアノの上にカンフルチンキの瓶がのっているという凝ったものであった。そして説明係の学生が、「此のカンフルチンキは、御練習の後、方々の節々に塗られるための御用意であります」という説明をしたので、先生は顔一杯皺だらけにして苦笑しておられた。満場の喝采はおして知るべしである。先生は、「どうもひどいことをいうものだが、満更根も葉もないことでもなくてね」とニヤニヤしておられた。

そんな事件があって次の夏か、一年おいて次の夏かに、しばらく先生が理研へ顔を出されないことがあった。その後御宅へ伺ってみたら、応接間に新しいセロがきていて、今までのセロと二挺並べてたてかけてあった。先生はその二挺のセロを頤で示しながら、「どうもこの頃色々家に病人があったり、不幸なことがあったりして、この調子じゃとても僕の方が続かないと思ったから、少し贅沢なようだったが、セロを二挺にしたよ。