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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁
御殿の前の淋れた大通に面して、初めて寄宿舎などの附属した工場が出来たのは、私の五年頃だったと覚えている。今から考えると何の財源もない御殿の生活から、人々は次第に離れて行くような風潮が感ぜられたことだろうと思われる。御殿には以前からまだ一人Sという老人の家令がいて、そこには私と同年輩の子供がいた。私達も段々悪くなって、留守の御殿を我が物顔にとび廻るようになった。大広間に続いた沢山の小さい室が、毎日雨戸を開けずに真暗に鎖されていた。その中でよく隠れん坊などをしたりした。沢山の襖を静かに開けて、次から次へと暗い室を通り抜けて行くことは随分怖かったけれども、それだけ私達の興味を唆っていた。ただずっと奥の方にある大殿様の御居間と、その裏のよほどの貴賓でもあった時に通すものと思われる妙に暗い室とは一度もはいったことがなかった。何だか不開の間というような感じで、恐くて近寄れなかったのである。まだ一つ、一の蔵と称する御蔵も随分子供の私達にとっては怖い所だった。御蔵には一の蔵と二の蔵と白壁の大きい土蔵が二つあって、一の蔵には、大切な旧くからの御道具と能衣裳と面とが一杯詰っていた。