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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《任侠二刀流(にんきょうにとうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 頁
蛇を貸せというお絹の依頼
「さあさあお歩き太夫さん、一人は右へ一人は左、恋しいお方を尋ねてね」
そこでまたもや唄い出す。
寂しい寂しい唄である。唄の文句や節に託し、感情を洩らしているのである。ズルズルと解けた二匹の蛇、左右へスルスルと動き出した。
その時見物を掻き分けて、つと前へ出た一人の女、他ならぬ鷺組のお絹であったが、山かがしへ眼をつけたものである。
蛇を貸せというお絹の依頼
やまかがしへ眼を付けた鷺組のお絹、心で呟いたものである。
「ほんとに上手に慣らされているよ。何んでも云うことを聞くらしい。お仙さんとかいう太蛇使い、さすが大江戸の芸人だけあって、水際立った立派な芸、それに大変美しい。山影宗三郎という人を、尋ねて来たということだが、水戸様のご家来山影様なら、まだお姿こそ見ていないが、同じご家中というところで、よくお噂は聞いたものだ。妾達鷺組と同じように、特別大事な任務を持ち、木曽の御岳へ上られた筈、お仙さんの云うことに嘘がないなら、名古屋へ入り込んでいるらしい。是非邂逅ってみたいものだ。……それはとにかく慣らされた小蛇、あれをどうともして借り受けて、秘密の小口を探ってみたいものだ。