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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《任侠二刀流(にんきょうにとうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 頁

青空文庫

黒気の立った方角へ

鼻下にも顎にも粗髯があったが、おそらく手入れをしないからであろう、ヒョロヒョロとして見立てがない。がそれがかえってその人物を、一層上品にみせるのである。

「ご覧よ、松前」とその人物、空を仰いだが云ったものである。「太微恒の五帝星座を、不吉な赤気が貫いているよ。五諸侯星座が動揺している。おっ、いけない流星がした。ね、東北の方面へ。……ふふむ、どうもよくないなあ」

東北の空を眺めやった。

しかし門下の松前という武士には、まだ天文未熟のためか、五帝座を貫いている不吉の赤気も、五諸侯星座の動揺しているのも、観望することが出来なかった。

だがいったい儒者風の人物、どういう身分の者だろう。

黒気の立った方角へ

儒者風をした高朗たる人物、その門下らしい松前という若武士、林を通して空を仰ぎ、しばらく天体星の相を、まばたきもせず見ていたが、

「ここは見にくい、外へ出よう」

儒者風の人物歩き出した。

林の外に丘がある。そこへ上った二人の者、今は遮る物もない、晩夏初秋の夜の空を、ふたたび仰いで眺めやった。

「ね、ご覧」と儒者風の人物、「五帝座の中心黄帝星が、幸臣星のために犯されようとしている。