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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《任侠二刀流(にんきょうにとうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 頁

青空文庫

先日三升屋の門を通り、彼女を見かけたということと、目下自分は病いを発し、看病をしてくれる者もなく、みじめに暮らしているについては、是非とも見舞ってくれるように、そのため駕籠を差し向けた――これが書面の文意であった。

もしも浜路が冷静に、前後の事情を考えたなら、贋手紙であることに思い及んだだろう。文字が宗三郎の文字でない。この一事だけでも感付くことが出来る。がしかし浜路は恋に眩み、とおから冷静を失っていた。宗三郎恋しさで一杯であった。その恋しい宗三郎が、病気で困っているという! カーッと一時に血が燃えて、父の帰りを待とうともせず、いわゆる取るものも取りあえず! そういう心持ちに猟り立てられ、部屋を飛び出して行ったのは、可哀そうでもあれば当然とも云えよう。

門へ出てみると駕籠がある。黒く塗られた気味の悪い駕籠だ。

「駕籠屋さん」と浜路声をかけた。

「へい」と立ち上った二人の駕籠舁き、カタンと戸をあけるとスルスル、浜路内へ吸い込まれた。と、駕籠が宙に浮き、走り出したのは御器所の方面!

一世の梟雄島津太郎丸

浜路を乗せたトヤ駕籠一丁、御器所の方へ走って行く。