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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《任侠二刀流(にんきょうにとうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 頁
その日も酒場は客で埋ずまり、元気のよい会話が交わされていた。
隠せば現われるという奴だ、宗春卿のお行方が、知れなくなったという噂、それが話の中心であった。
「けぶな話っていう奴さ、一国の殿様がなくなったんだからなあ」こう云ったのは地廻りらしい男。
「ナニサ、俺らの思うには、ああいう立派な殿様だ、時頼さんの心意気で、諸国漫遊に出られたんだろう」こう云ったのも地廻りらしい男。
「佐野の渡り辺で藪蚊に食われ、飛び込んだ百姓家に別嬪さんがいて、その名を常世さんと仰せられ両人ひどく話が合い、引っ張って来てお妾さん、そこで三人の腰元を付けたが、お梅さん桜さんお松さん、この地口はどんなもので」こいつは不忠者に相違ない。
「拙の愚案はそうではげえせん、何んの佐野まで参りましょう、アノ待ち合いの蜂龍へしけ込み、セイエイ連の綺麗どころを召し、小万ちゃんというのが気に入って、そうでげすな、お芝居話、そこで帰るのが厭になり、いまだにご逗留というところ、家来の面々そうとも知らず、血眼になって探しているが、小田原町とは気が附くめえ。……というのはいかがのもので」こう云ったのは若旦那。