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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《任侠二刀流(にんきょうにとうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 頁
こう念じながら走るのであった。
火事場へ行く者、火事場から逃げる者、往来は人間で埋ずまっている。罵る声、叫ぶ声、叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)する声、悲鳴泣き声! 往来は声で埋ずまっている。掻き分け掻き分けひた走った。今日の地理で云うときは、別院の東側を南へ向け、七丁目から八丁目を過ぎ、橘町から東へ曲がり、真っ直ぐに行けば梅川町! さすがにこの辺まで来た時は、天こそカ――ッと赤かったが、人影はまばら、灯影もまばら、これまでが恐ろしい雑沓だったため、物寂しくさえも思われた。
と、黒々と木立が見えた。
「あれあそこが浅間様! もう一息でございます! さあさあおいでなさいませ!」
八重梅先に立って急がせた。
「急ぎましょう、お仙様!」
「急ぎましょう、浜路様!」
声を掛け合ってひた走る。
いよいよ行きついた浅間の社地! 見廻したが何んの人気もない。木立がすくすくと立っている。常夜燈の灯がまたたいている。奥に古びた社殿がある。ただそれだけだ、森閑としている。
ぼんやり突っ立った浜路とお仙、顔を見合わせたものである。
「誰もいない! 人ッ子一人も! いったいどうしたのでございましょう」