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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《土曜夫人(どようふじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,903 字 · 213 頁

青空文庫

と、交番所の巡査に呼び停められた。

「何ですかね……?」

「一寸来たまえ! お前も来い!」

巡査は京吉と靴磨きの娘を、交番所の中へ連れてはいった。

なぜ呼びとめられたのか、京吉はわけが判らず、むっとして、

「何か用ですか」

「名前は……?」

「矢木沢京吉!」

「年は……?」

「二十三歳」

「職業は……?」

「ルンペン」

「何をして食べとる……?」

「居候」

「その娘は、お前の何だ……?」

「…………」

「なぜ答えぬ」

「お前といわれては、答えられん!」

「ふーむ。その娘は君の何だ……?」

「妹です」

「職業は……?」

「見れば判るでしょう……? 靴磨きです」

京吉はそう言いながら、陽子の方を見た。陽子は結局写されたらしい。そして、二言、三言、占領軍の家族と言葉をかわしたかと思うと、彼女たちのジープに乗った。

「あ、いけねえ!」

今のうちに掴まえなくっちゃと、思わずかけ出そうとしたが、

「どこへ行くんだ……?」

巡査の手はいきなり京吉の腕を掴んだ。

やがて、陽子を乗せたジープは、交番所の横を軽快な響きを立てて走って行った。

鳩

一

留置場では、釈放されて出て行く者を「鳩」という。

陽子はチマ子が予言した通り、一晩留置されただけで、鳩になった。