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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

線上閱讀織田 作之助《土曜夫人(どようふじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,903 字 · 213 頁

青空文庫

日頃の京吉は、友達の坂野よりも、むしろ細君の芳子の方へ、ペラペラと冗談口を利いていた。口は悪いが、しかし、それが一種の愛嬌になっていて、芳子も京吉がアパートへ遊びに来ると、何となく気がまぎれるのだった。が、その京吉の今日のこの不愛想さは一体どうしたことであろう。

芳子は取りつく島のない想いの底に、何か後ろめたい気持を、ひやりと覗きながら、

「銀ちゃんのことよ。グッドモーニングの……」

われにもあらず、赧くなっていた。

「おれ知らねえよ」

「あんた、銀ちゃんと会うて来たんじゃな……?」

「おれ知らねえよ」

すねたように、うそぶいている言い方で、芳子には、京吉が今まで銀ちゃんと会うていたらしいと、判った。もっとも、さっき京吉が、

「ひでえキャッキャッだ」

と、言った途端に、芳子にはピンと来ていたのである「キャッキャッ」というものは、銀ちゃんの口癖であり、その言葉が今京吉の口から出るのは、つい今のさきまで、会うていた証拠だ。

どこで会うていたのか。芳子は、半時間ほど前に祇園荘へ電話をかけて、京吉を呼び出したことを、想い出した。京吉は祇園荘でマージャンをしていたにちがいない。