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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁
宵強盗は荒仕事――といっていた通り、大亀は、家人がまだ起きているのを承知の上で押し込んだ。前々から、女ばかりの寮と目をつけていた家であったのだろう。
宵強盗は、凶器を突きつけて、まず家人を縛りあげ、金のありかに案内させているらしい。奥の燈火は消え、物音も止み、墓場のような闇が屋の棟に降りている。……その間、市十郎はそわそわして、潜戸の内を覗いたり、外を見廻したり、ついにはいたたまれずに、
「か、亀次……」
と彼も、手探りで、家のうちへ四ツン這いにはいって行った。足の裏から総身へかけて、ふるえが走った。
「ま、まだか、亀次」
廊下のつき当りに、奥座敷が見え、そこから、灯影がゆらいでいる。大亀だなと思い、及び腰で、立ってゆくと、ぬるりと何か、足がすべりかけた。
「おや? ……」思わず手をついて、身の毛をよだてた。人間の死骸である。いうまでもなく血の池である。
うしろの柱に、もうひとり家人が縛りつけられている。大亀は、抵抗したひとりを斬り伏せ、ひとりをここに縛りつけて、家探しにかかっている様子なのだ。
だがなかなか現金が出ないらしい。大亀の影が、障子の間から顔を出した。