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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁

青空文庫

――ところが、今朝。

お袖とお燕が、堺町の歌舞伎見物にゆくというので、大亀や阿能十や赤螺三平などで、あとを見送っていると、物蔭から、異様な敏捷さで、二つの絵日傘を尾けて行ったものがある。

三人は、すぐ、覚った。

悪の直感だ。――鶯橋の上で、その男を、取ッ締めた。そして、非常な迅さで、寺屋敷へかつぎこみ、

(たしかに、こいつは、北か南の、同心か与力にちげえねえ)

と見極めて、さんざん、足蹴や棒切れのノシをくれて、室内の畳を上げ、床下の生け洲とかれらが呼んでいる桝の中へ、抛りこんでおいたのである。

「親分。なぜ野郎を、ひと思いに、たたっ殺しちゃいけねえんですか」

赤螺三平は、不平面だった。阿能十や、大亀よりも、かれは残忍性につよく、殺人癖をもっていた。

「ばかあいえ」

刑部は、坊主枕へ、脇息がわりの肱を支えて、万年寝床に、あぐらを組んでいた。

「生かしておけば、何かの、懸け引にはなろう。殺そうと思えば、今でも殺せる」

大亀は、今朝からしきりに、動揺していた。もうここにいるのが、不安でならない顔つきなのだ。

「どうも、堀留以来、すこしここの古巣も、安心できなくなった。