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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《大岡越前(おおおかえちぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 頁

青空文庫

赤坂辺にやしきのある大岡市十郎と名も初めてのときから覚えた。

その市十郎を連れて来たのは、従兄の大岡亀次郎で、亀次郎の方が、二つ三つ年上でもあり遊蕩も先輩だった。

(とり持ってやる)

と、亀次郎が、あの夜ついに、導引の梅賀の家を借りて、灯もない一間へ、若い男女を置き放しにして帰ってしまった。

梅賀は、おもて向きは、按摩療治をしているが、実は、したたかな悪党で、世間の信用を利用して、ここかしこの穴を見つけ、悪い仲間にゆすらせたり、泥棒の上前をハネたりしているような男だった。

が、老賊の老巧で、やりたい贅沢は、年に何度か、伊勢詣りの、検校の試験に上洛るのだと称して、上方へ行って散財し、江戸では、導引暮らしの分を守り、決して尻ッ尾をあらわさない。

しかしその家は、自と、悪い仲間の巣になって、不良の若いのが、彼を頭目のようにしてよく集まった。

亀次郎は、疾くからここの仲間であり、若い命を、女、酒、ばくち、悪事の火遊びにすり減らしていた。

従弟の市十郎も、うかと、ひッぱりこまれたのである。気がついたときはもうおそい。お袖とはできていたし、養子の身なので、養家にたいし、それは怖ろしい弱点であった。