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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

それはほかのものではない、一着の着物を長たらしく小腋にかい込んでいるのです。ははあ、この男は、あの死肉の上の着物を取って来たのだな。察するに、ただ、無意識に、ひょっと手が触れたままに引抱えた手ずさみだ、笠と杖とを持たない代りのあしらいに過ぎまい。

面前で起ったバサバサという音は、いよいよ劇しくなって、次いで、キャッキャッと名状すべからざる悲鳴が起り、竜之助の脚下で風雲が捲き起っているにはいるが、それは見えない人のために、代って少し説明すると、貉がワナにかかっただけのものです。

後ろ足の一つをワナに挟まれた貉が、必死の悲鳴と、全身の努力を以てそれを脱せんと悶えているところです。そうすると、やや暫くあって、他の一方の蘆葦茅草の中から、むずむずと出て来たものがある。それが同じく貉の一つで、前の貉は一足をワナにはさまれている、後の貉は、どこもはさまれてはいないが、見捨てられない愛着に繋がれているらしい。多分一方が雌で、一方が雄なのだろう。

人の足音によって、いったん、離れたが、その足音が止んだらまた出て来て、はさまれないのが、はさまれたのを救済にとりかかっているのだ。