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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

「はあて」

「お蘭もあれで、親玉に負けない好き者じゃでのう、お蘭の手にかかった男もたんとあるとやら、まあ、男たらしの淫婦じゃてのう」

「親玉のお手がついてからでもか」

「うむうむ、かえってそれをいいことにしてのう、今までのように土臭い若衆なんぞは、てんで相手にせず、中小姓じゃの、用人じゃの、お出入りのさむらい衆じゃの、気のありそうなのは、まんべんなく手を出したり、足を出したりするそうじゃてのう」

「はて、さて、そりゃまた一騒ぎあらんことかい」

「どうれ」

「どっこい」

「もう一廻り、見て、お開きと致そうかいなあ」

「そうじゃ、そうじゃ」

「どうれ」

「どっこい」

こう言って、彼等は、煙草の吸殻を踏み消し、御用提灯を取り上げて、背のびをしたり、欠伸をしたりしながら立ち上る。そうして、まもなく橋を渡って、あちらへ行ってしまう。一旦、平べったくなったがんりきの百蔵の身体が、この時また立体的になる。

「ハクショ!」

音が高い――自分の口をあわてて自分の左の手で抑えて、

「風邪をひいちゃった――だが聞き逃しのできねえ話をきかされちゃったぜ――畜生、どうしやがるか」

こう言って、いまいましそうに、御用提灯のあとを見送っていました。