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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

柳の後ろに人がいたのです。それはいつごろから来ていたか、よくわからないが、兵馬に介抱された芸妓が、「いくら芸妓だって、あなた、酔興で夜夜中、こんなところに転がっている者があるものですか……云々」と言っていた時分から、柳の蔭がざわざわとしていました。

それからは、全く動かなかったのですが、バサバサと御膳籠の音がして、足許から飛行機が飛び出したように、屑屋が、この情にからんだ気流を攪乱して行って、兵馬が射空砲のように、そのあとを追いかけた時分になって、そろそろと柳の木蔭から歩み出して来たのは、覆面をして、竹の杖をついたものです。

音を成さない足どりで、鮮やかに歩み寄って、思わせぶりの芝居半ばで、相手をさらわれ、テレ切っている芸妓の後ろへ廻り、肩へぬっと手がかかったと見たものですから、女が気がついて、

「おや、あなた、どなた……あのお若いおさむらい様のお連れなの」

と言ったけれども返事がありません。

酔ってさえいなければ、もっと強調に、怪しみと驚きの表情をしたのでしょうが、たった今、ようやく酔線を越えたばかり、まだ酔と醒の境をうろついていた女には、それほど世界が廻っているとは見えなかったらしく、