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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁
そのくらいですから、こちらに兵馬が控えていることには、全く気がついていないようです。
ところが、果して庭下駄の音はカランコロンとこちらへ廻って来る。濁声はろれつの廻らないほどになり、
「おいおい、そこは道場じゃないか、そんなところには誰もいやせんぞ、夜分は誰もおりゃせん……そこには誰もおらん、いや、こちらにも誰もおらん、おらん、お蘭――」
かなり酩酊していることは、そのろれつのまわらない言いぶりだけでなく、駒下駄に響くカランコロンの乱調子でもよくわかります。
しかし、その酔眼でも、この道場近くに相手が逃げ込んだということだけは、どうやら見当がついたものと見えて、ようやく道場へ近づいて来て、その表の大戸の方をしきりに押してみました。
「あきはせん、夜分は稽古なしじゃ、誰もおらんのだ、こんなところへ逃げてはいかん、逃げるに致せ、もっと穏かなところへ逃げるがよい、錠が下りている、あきはせんというのに、おい、あけないか、外からは錠がなくてはあかないが、なかから外せ、あけないか」
しきりに大戸をがたがたさせながら、ろれつの廻らないことを言っている胡見沢は、どうも相手がはっきりこの中へ逃げ込んだものか、そうでないか、充分に観念があってするのではないらしい。