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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁

青空文庫

しかるに団伊能君はこれらについても、また疑問をはさんだ。ギリシアで同様にエンタシスを施したのはギリシア芸術の盛大期でのことであった。その衰退期に及ぶと次第にエンタシスは見られなくなる。インドの建陀羅芸術はギリシアの影響を受けたものであるけれども、しかもその盛大期の影響を受けたのではない。衰退期の芸術を伝えたのである。そうして建陀羅の建築を見るに、同様のエンタシスは一つも発見することができない。中央アジアや支那、朝鮮の仏教建築においても皆同様である。

事情かくのごとくなるにかかわらず、その仏教建築がわが国に来て法隆寺の建築になると、ここに再び円柱のエンタシスが現われた。これはまことに怪しい。

この事実から見るときは、ギリシアの手法が伝わったものであると認めるのは、あまりに無理である。

法隆寺の円柱のふくらみは、外来の関係からできたのではなく、他に事情があってのことと認めなければならぬ。

ギリシアの円柱にエンタシスのあるのは、元来ギリシアでは木造の建築が行われ、それから石造に進んだのであるが、木造の円柱では上下の寸法は決定しておかなければならないが、鉋のない時代のことで、斧でけずるのであるから、中間はふくらみのあるようなものになるのも自然のことでもあったろう。