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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
それは何人にも自然に起こる疑問である。少しく論じなければならぬ。
日本で代数学の発達する〔の〕は寛文頃から以後のことである。西洋の影響を受けたとすればこの時代のことでなければならぬが、この頃にはすでに鎖国になって、わずかにオランダとの交通はあるけれども、その交通も長崎の一港に限られ、蘭書を読むこともほとんどなかったのであるから、直接に影響を及ぼし得ることに大いなる可能性はない。西洋の天文学を伝えた人はあっても極めて幼稚なもので、代数学にまで関係したほどのものではなかったようである。オランダで数学を学んだ日本人はあっても、日本へ帰った形跡がない。もし帰ったとすれば、幾何学に造詣のあった人らしいから幾何学を伝えそうなものであるが、幾何学然たるものは発達しなかったのが事実である。南蛮から帰ったという医者も数学に関係のあった人ではないようである。これらの方面からはどうもオランダの数学が伝わったろうという証迹があがりかねる。
関孝和が方程式論関係の事項について種々の記述を残しているし、中心周の問題のごときは西洋では関より少し前にスイスのグルダンが同様のことを得ているような事実もあるから、もし西洋の影響を受けているならば、これらの事項であったろう。