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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
日本では徳川時代の初めまでは数学は起こらなかったといってもよろしい。
数学に趣味があり素質がありながら、何故にかくも長い間、数学が起きなかったものであろうか。これはけだし重大な問題であって、今容易に解決し得ないけれども、社会の状態がしからしめたものと解して大過なかろうと思う。日本は元来農業国であって、商工業は極めて幼稚であり、都会は発達せず、交通の便も少なく、浪人が諸方に移動したごとき形跡はあるが、浪人といっても元来が農民からでてまた農民になるものに過ぎないから別にいうべきほどのことはなく、農業といっても地域は狭く、灌漑は便利であり、気候温順にして天変地異少なく、ただ種子を播いて培って刈り取りさえすればよいという有り様であるから、何等数学の発達を促すべき要素もなかったといってもよい。
武家時代になっても、武家は地方の地主であって、質素簡潔を喜び、弓馬の術に慣れればそれでよいのであるから、武士の社会から数学の起こるべき道理もなかった。
数学には限らず一般に学問の発達には外国との関係が重要な要素になるのが普通であって、ギリシア数学はエジプト、バビロニア等の文明に接触してから起こり、西欧の諸国ではアラビアから伝えられたのが大いなる刺激となり、近世の日本では初めは支那、後には西洋の学問を受け入れて始めて数学及び