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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
「好いとも、明日往こうか」
「明日はすこしつかえるから、明後日の朝の一番にしようじゃないか」
「好いとも、だが、僕がきっと勝つよ」
益雄と画家は約束を実行して、二人で××海岸へ往った。そして、臨海亭へ着くなり、益雄は茶を持って来た婢に向って訊いた。
「姐さん、この裏手の草っぱらに家があるね」
婢は益雄の前へ茶碗を置こうとしていた。婢は不思議そうな顔をした。
「家、そこの草っぱらですか、家なんかありませんよ」
「ないことがあるものか、小さな家だよ、家のあることは事実だが、その家にいる者が問題だよ、姐さんは近比ここへ来たのだね」
「でも、もう三年になりますよ、家なんかがあるのでしょうか、私たちは狐が怖いのですから、夜なんか通ったことがありませんが」
「おかしいぞ、だが、姐さんは、通らないから知らないかも判らない、まあ、後で往ってみよう」
益雄と画家は茶をそこそこに飲んで庭へおり、裏口の針金をもうしわけに引いた柵を跨いで草藪へ往った。益雄の懐には女に持って来た化粧道具が入っていた。
晩秋の夕陽が芒の穂や雑木の枝に動いていた。そこには菊芋の丈け高い麻のような茎も見えていた。