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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
謙作は玉とはなんのことだろうと思って、考えてみたがさっぱり見当がつかなかった。
「お待ちどうさま」
女が魚軒の皿とフライの皿を提げて来ていた。
「あ、これは宜い、後をすぐ浸けておくれ、すこし時間があって、ね、船に乗るところだからね」
「どちらへいらっしゃいます」
「台湾へ帰るところだよ」
「おや、台湾へ、それは大変でございますのね」
「あ、あ、ちょと途が遠くってね」
謙作は魚軒に添えた割箸を裂いて、ツマの山葵を醤油の中へ入れた。
「台湾は宜いな、台湾にいたのですか」
それは洋服の男が己の方へ向って云った詞であった。謙作は箸を控えて顔をあげた。洋服の男は赧黒い細長い顔をこっちへ向けていた。
「そうです、もう十年あまり、むこうで商売をやってるのです」
「基隆ですか、台中ですか」
「台中です」
「そうですか、台湾は暢気で宜いのですなあ、私も台湾にすこしいたことがあるのです、私はシンガポールにも、バタビヤにも、広東にも、マニラにも、上海にも、南京にも、東洋の名高い港と云う港は渡り歩いてるのですがね」
「そうですか、私も上海と広東へは、ちょと往ったことがあります、何か御商売でも」