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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
讓は困って立っていた。
家の内へ向けて何か云う女の声が聞えて来た。讓はその声を聞きながら秋になっても草の青あおとしている庭の容に心をやっていた。
艶かしい女の声が聞えて来た。讓は女の姉さんと云う人であろうかと思って顔をあげた。内玄関と思われる方の格子戸が開いて銀色の燈の光が明るく見え、その光を背にして昇口に立った背の高い女と、格子戸の処に立っている彼の女を近ぢかと見せていた。
讓はあんなに玄関が遠くの方に見えていたのは、眼のせいであったろうと思った。彼はまた電燈の笠のくるくる廻ったことを思いだして、今晩はどうかしていると思いながら、花の垂れさがった木の方に眼をやると、廻転機の廻るようにその花がくるくると廻って見えた。
「姉があんなに申しますから、ちょっとおあがりくださいまし」
女が前へ来て立っていた。讓はふさがっていた咽喉がやっと開いたような気もちになって女の顔を見たが、頭はぼうとなっていて、なにを考える余裕もないので吸い寄せられるように燈のある方へ歩いて往った。歩きながら怖ごわ花の木の方に眼をやって見ると、木は金茶色の花を一めんにつけて静に立っていた。