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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
「どうです、あなたの旦那様はもうお帰りになったのですか」
「そりゃあね、おそくなるとお宅の首尾がわるいものですからね」
と、婢も心得たものであった。平生であったら天風はそれから手を出して、ひ、ひ、ひ、と云うような笑い方の真似をまじえて一と巫山戯するところであるが、腹が一ぱいになっているうえに、女のことがあるのでおとなしかった。
「ビールで何かもらいたいが、今日は腹一ぱいで鰻は喫いたくない、何か出来ないだろうか」
「そうね、じゃ、お刺か、お碗か、雉子焼は如何です」
「そう、それじゃ、雉子焼にしてもらおう、鰻は伴が来たら喫うかも判らない」
婢はすぐ出て往って、茶を持って来、それからビールを運んで来た。天風はその間煙草を吹かしながら女のことを考えていた。
「お伴さんでないと、お気に召しますまいが、お一つお酌をね」
婢がからかいながらビールを注ぐので、天風はそれを手にしながら対手になった。
「まあしようがない、伴の別嬪が来るまでは、ね」
「どんな方、カフェーの方、それとも歌妓衆」
「そいつは云われないが、なにしろ壮い別嬪だよ」
「ずいぶんごちそうさまね、え」
婢が出て往ったところで、天風の頭に練絹に包まれたような壮い女の白い肉体が浮んで来た。