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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
砲煙、銃火、連隊旗、剣、赤鬼のような敵兵。
(左の脇腹に擦過傷を一つ負うただけで、金鵄勲章をもらって、人からは日露戦争の勇士だの、なんだのと云われるが、なにが面白い)
広巳の感情はたかぶって来たが、それでもその感情の前方には錦絵の女があった。広巳の感情はすぐやわらいだ。広巳は八幡宮の前へ往っていた。
(ここだ)
広巳は入ったがすこし後めたくなった。広巳は眼をやった。あの風船玉売の老婆が、二三人集まって来ている小さな女の子に、商売物の風船玉を見せびらかしている他には何人もいなかった。広巳は安心して華表を潜って往った。華表を潜りながら拝殿の方へ眼をやった。拝殿の方から嬰児を負った漁夫のお媽さんらしい女が出て来るところであった。
(もう、帰ったのか)
広巳は社の左右へ眼をやった。稲荷の祠の傍には岡持を持った小厮と仮父らしい肥った男が話していた。
(それとも、あの二人に何か因縁をつけられて、どうかしたのだろうか)
因縁をつけられて料亭へでも伴れて往かれているとなると、黙ってはいられなかった。
(聞いてみようか)
広巳は社の右側へ廻って往った。さっき己が腰をかけていた右側の階段に、あの箒の老人が傍へ箒をもたせかけて腰をかけていた。