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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
(間部山あたりからでも飛んで来たのか)
広巳の眼は水神社の古ぼけた木連格子へ往った。そこに水神社と云う小さな木札をさげてあった。
(これが水神様か、こんなうす汚い水神様がお姿をあらわしたところで、たいしたこともねえだろう)
広巳が口元に嘲りを見せた時、黒い物の影が落ちて来た。それは鳶か烏かの影のようでもあった。
(前刻の鵜か)
広巳はまた空を見たが何も見えなかった。広巳の眼は池の水の上へ往った。しかし、そこにも鳥らしいものはなかった。
(なあんだ、ばかばかしい)
広巳は引返した。広巳は他に女のことを尋ねる手がかりがないので、もう一度老人に逢って確めようとしていた。
(どうも、この辺の人らしいぞ、あれが、まさか、水神様の化身でもないだろう)
広巳はまた嘲りを浮べながら老人のいる処へ往った。老人は略画の烏の髷を見せて稲荷の前を掃いていた。
「爺さん」
「ほい」
老人は吃驚したように箒の手をとめた。広巳はおかしくてたまらなかったが笑わなかった。
「前刻の女のことだが、ほんとに知らないかい」
老人はまたけげんな顔をした。
「前刻の女って、なんだな」
「俺が喧嘩してた時に、仲へ入ってくれた女さ、ありゃこの辺の女じゃないかね」