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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
お町は後から大きな飯櫃をやっとこさと拘えて来た。
「おつけしましょうか」
「いい」
広巳はむぞうさに飯櫃の蓋を除って飯をつけて喫いだした。品川の妓楼へ一泊した広巳は、家へかえるのが厭だから、朝帰りの客を待っている小料亭へあがって、旨くもない酒を喫んで気もちをまぎらし、飯も喫わないで帰っているので、喫いだしてみるとひどく旨かった。広巳は夢中になって喫った。
「若旦那」
お町は下へおりて流槽で何か洗っていた。広巳は茶碗ごしに眼をやった。
「昨夜は、品川ですか」
広巳はまた上唇を顫わしたが、それはいくらか笑いになった。
「なに」
「品川でしょう、それとも大森」
「なに」
「ほんとに若旦那は、この比へんじゃありませんか、若旦那は、どんなりっぱな家からでも、ものによっては、華族のお嬢さんでも、奥さんにもらえるじゃありませんか、つまらない遊びはよして奥さんをもらったらどうです、旦那さまも御心配になっておりますよ」
「ふん」
広巳はそれに深く触れたくなかった。広巳はそれをはぐらかすために勢よく飯を掻きこんだ。お町は前へ来て立っていた。
「ほんとですよ、山県さんとか伊藤さんとか、豪い方の奥さんは、歌妓だと云いますから、歌妓でもお妓でも、それはかまわないようなものの、お宅は物がたい家ですから、堅気のうちからお嫁さんをもらわなくちゃなりません