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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

広巳は対手の男を見た。

「俺だよ」

それは秋山と云う友人であった。

「けんちゃんか」

「暢気じゃないか、こんな処で寝るなんて」

沙利置場に寝ていることは判ったが、場所が判らなかった。

「ここはどこだ」

「判らないのか」

「さあ」

「困った男だな、ここは海晏寺の前の榎の傍じゃないか」

「なに」

広巳は眼をやった。なるほど枝の茂った榎の老木が月の下に見えていた。

「君、そんな処に寝ていちゃ毒だよ」

「ああ」

「何時比から寝ていたのだ」

「さあ、あちこち飲んでたから」

「判らないのか」

「ああ」

「暢気だなあ」

「ああ」

「もう、十二時まわってるよ、早く往って寝たらどうだ」

広巳は頭がはっきりしたので起きた。

「おい、けんちゃん、つきあわないか」

「どこへ往くのだ」

「品川さ」

「じょうだんじゃない、これから往ったら、夜が明けるじゃないか、早く往って寝るがいい」

「あんな処へ帰るものか、厭だい、往こう、なに、おおっぴけは、二時じゃないか、往こう」

「今晩はだめだよ、今度にしよう」何か考えて、「どうだ、俺の家へ往かないか、この比、親爺は、田舎へ往って留守なのだよ」

「そうか」

「往こう、ビールでも飲もうじゃないか」