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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

「まあ、ちょっと坐れ」

「坐れ、このせわしいのに、どうしようと云うの」

「まあさ、ちょっとだ」

「ちょっと、どうするの」

「ちょっとでいいから坐ってくれ、話がある」

「なんの話なの」

「なんでもいい、ちょっとでいい」

「また愚痴かい」

「愚痴じゃない」

「煩いね」

「まあ、そう云うな、話だ」

「出かけなくちゃならないに、困るじゃないの」

「そんなに、てまをとることじゃない」

「てまをとられてたまるものかね」

「まあ、いい、たった一口云えばいい」

お杉はしかたなしに蹲んだ。

「なんだね、早くお云いよ」

長吉はお杉の声に見当をつけて顔を出した。

「おい、おまえ、俺のことはかまわないが」ちょっと詞をきって、「脚のことは云うなと云ってあるじゃねえかよ」

お杉は嘲り笑いを浮べた。

「なんだね、なにを云うかと思や」

「いや、いかん、それは云うものじゃねえぞ」

「なにも、べつに云やしないじゃないか」

「いや、いかんぞ、そいつは、いいか」

「だって、なにも云やしないじゃないの」

「云わなけりゃいいが、云うなよ、いいか、頼むぞ」

「判ったよ」

「いいか、それじゃ云うのじゃねえぜ、人の嫌がることを云ったり、したりするものは、ろくなことはない、雷さんの悪口を云ってて、天気もわるくないのに、雷さまが落っこちたと云うからな」