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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

壮い男は右の方の脚は骭から下がなかった。壮い男はばったの飛ぶようにして長吉の前へ来た。

「音か」

それは長吉の甥の音蔵であった。音蔵は砲兵工廠に勤めていて、病菌が入ったので脚を切断したものであった。

「叔父さん」

音蔵の声は顫えを帯びていた。音蔵は這ったままであった。

「どう、どうしたのだ」

「お、おじさん、お、おいらは、叔父さんにすまないが、きょう、かぎり、叔父さんとこを出るのだ」

長吉はあわてた。

「ど、どうして、そ、そんな、そんなことを云うのだ、そんなことを」

「おじさん、叔父さんの親切は、おいらは、死んでも忘れないが、叔父さん、おいらはつくづく考えた、叔父さんにはすまないが、おいらは、今日かぎり、出て往くのだ」

「そりゃ、判ってる、判ってる、判ってるがここが忍耐だ、まあ、気を大きくして、時節を待て、よく判ってる、あの二人は人間じゃない、おまえが居づらいのは判ってる、すまない」

「いや、叔父さん、おいらこそ、叔父さんにすまない、おいらがいるために、叔父さんが板ばさみになっているのだ、叔父さんにすまない、おいらは諦めた」

「ま、待ってくれ、つらかろうが、もすこし忍耐してくれ、そのうちには、叔母さんも考えてくる」