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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

「私は、どうもね、その」

「くどい、書けんか」

「書けません」

「よし、それじゃ、婆あの分は、俺が代筆をしてやる」筆のことを思いだして、「筆がないな、婢を呼ぼうか」

岡本は注意深かった。

「婢じゃいかん、半ちゃんが往ってくれ」

「よし」

半ちゃんは起って出て往った。岡本と松山は盃を持った。松山は岡本に眼くばせをした。

「つるは」

「うん」

「いいのか」

「いいとも」

「そうか」

「飲め」傍の二人に聞かすように、「俺だちは、強きを挫き弱きを授ける性分だから、しかたがない」

「そうだとも、義のためには生命もいらない俺だちだ」

「わりにあわない商売だよ」

「損得を云ってられないのだ、が、考えてみりゃ、損な商売だなあ」

「そりゃ、しかたがない、これもお国のためだ、日露戦争で討死した軍人も、俺だちのすることも、することは変ってても、おんなじことだぞ」

「そうだとも」

半ちゃんが硯と半紙を持って入って来た。

「不便なところだな、硯と紙を執りに往くに、野越え山越えだ」

松山が笑った。

「それも、お国のためじゃないか」

半ちゃんには通じなかった。

「なにが、お国のためだい」

「なにさ、俺だちが、こうして悪い奴をとっちめるのも、やっぱりお国のためだと、今、大将と話したところだ」